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法然上人と知恩院

伊藤唯眞猊下のお言葉

2015年4月

『文化財にこめられた三つの心』総本山知恩院門跡 伊藤唯眞

御影堂の修理工事が始まってから足かけ四年。去る二月二十日に無事に上棟式が執り行われました。

文化財の「財」という字には「たから」という意味があります。文化財は、単なる「もの」ではなくて、そこには「心」がこめられているのです。

私は御影堂には三つの心がこめられていると思っております。

まず一つ目には、宗教的な文化財建造物であれば当然ですが、おまつりする対象となる方のお心もちです。御影堂の場合には、仰ぎ慕う祖師 法然上人の心、つまり念仏の心です。

それから二つ目には、祖師の心につき随い、み教えに生かさせていただこうと願う人たちの心。今回の大修理工事も「お念仏の道場が老朽化してきたならば直さなければ」と私たち浄土宗の僧侶や檀信徒が発願したわけです。

最後には、お念仏の心と修理工事を発願した私たちの心を十分受け取ってくださった工匠の方々の心です。上棟式を無事に迎えられたのは、工匠の方々が精魂込めて日々励んでくださったおかげです。

この三つの心が集まってはじめて、単なる木造の物質であるものが生きた命を持った建造物となります。そして長い時間にわたってお念仏の心が受け渡されていくときには、歴史的宗教的建造物ができあがってくるわけです。

御影堂の落慶までにはまだ歳月を要しますが、上棟式にあたって私は工匠の方々のご尽力に心から感謝し、同時に御影堂にお念仏の心をいっそう注ぎ込んでいくことを決意したのです。皆さまも御影堂をはじめとする浄土宗の宗教文化財が、命あるものとして子々孫々まで伝えられていくように日々お念仏に励んでいただければ幸いです。



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