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法然上人と知恩院

伊藤唯眞猊下のお言葉

2015年7・8月

『日本人の伝統的宗教文化と現代』総本山知恩院門跡 伊藤唯眞

お盆はご先祖様をお迎えして精霊棚(しょうりょうだな)にお祀りしご供養します。そこで食事をお出しして一緒に楽しみ喜び、そしてお浄土にお送りして、また1年後にお迎えするわけです。

ご先祖さまはお浄土で説法を聞いて修行をして仏さまとなり還ってきてくださるのです。仏さまは命すなわち無量寿※1と、光すなわち無量光※2です。仏さまの命と光が私たち子孫の生きる力となって働いてくださるのです。

仏さまとなられたご先祖さまをこの世にお迎えし、共に時間を過ごして私たちを守って生きる力を与えてくださる。それがお盆と理解いただければと思います。お盆はこの世における倶会一処(くえいっしょ)※3の機会ともいえるもので、お盆の現代的な意義であるといえます。

また無縁仏、すなわち家が絶えたりしてお祀りすることがない迷える魂を大事にするのもお盆です。おもてなしの心をもって無縁の仏さまを大切に思うことは接待の精神を養う機会でもあります。

ひと昔前、盆になると商家などの奉公人は主人から若干の金品を貰い、親もとに藪入りし、先祖を祀りイキミタマ※4の親に贈物をしたものでした。ところが今のサラリーマンなどはボーナスを先祖まつり抜きで遊びに費やしています。命のもとへの感謝を忘れがちです。現代人はお盆の大事なところを見失っています。日本人の「忘れもの」の1つです。これを取り戻したいものですね。

このように考えることで伝統的なお盆の行事が現代にもより一層いきてくるのです。

 

※1 無量寿 仏さまのはかりしれない寿命。

※2 無量光 仏さまの身体から出るはかりしれない光。

※3 倶会一処 「阿弥陀経」に出てくる言葉。極楽に往生したら、先に極楽へ往っている先祖や親しい人たちに会えるということ。

※4 イキミタマ 民俗語。生きみ魂、親のこと。



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