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法然上人と知恩院

伊藤唯眞猊下のお言葉

2017年1月

『慈しみの架け橋を』総本山知恩院門跡 伊藤唯眞

やさしさは人間らしく生きる条件 やさしさは心をつなぐ結びヒモ

やさしさはまなざしに宿るこころ味 やさしさはその人柄のかくし味

感性はやさしさの心に培われる

 

これは私の友人が創(つく)った詩(うた)です。天空の城と称される兵庫県の竹田城の麓にある寺の住職でしたが、昨年の春に亡くなり、奥さまが額にして贈ってくださいました。

やさしさとは慈悲です。まさに仏さまのみ心を伝えたことばであり、すさんだ世相にあって私たち一人ひとりが今一番大切にしなければならないことです。

『観無量寿経』には「仏心とは大慈悲これなり。無縁(むえん)の慈(いつく)しみをもって、もろもろの衆生(しゅじょう)を摂(せっ)するなり」とあります。慈は人々に楽を与えることであり、悲は持っている苦を取り除くということです。また、ここにある無縁とは、縁がないということではなく、特定の対象ではないということです。あらゆる人々と共に楽しみ、あらゆる人々と共に苦しみ、苦しむ人には寄り添い、それを和らげてあげる、これが仏さまのみ心なのです。

相変わらず命を軽んじる事件・出来事が日々のニュースで報じられています。障害者への差別、児童虐待なども相次いでいます。仏さまの大慈悲心を今一度思い起こして頂きたいのです。個人的にはそうした心を持たれていても、なかなか行動には出しにくいかもしれません。隣の方にもその思いを伝え、慈悲の心を架け橋にした輪が出来ていったなら、今の世相を少しでもよくすることに役立つような気がします。「おてつぎ運動」でいう人から人へお念仏を伝えていくということは、やさしさ、慈悲の心を伝えていくということにほかなりません。

「仏心とは大慈悲これなり」―。年頭に当たって仏さまのみ心を改めて心に止めてほしいと願っています。



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