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おてつぎ運動

特集記事

2014年11月

『信仰と文化の粋を受け継ぐ』知恩院執事 御影堂修理事務局局長 大﨑順敬、知恩院御影堂修理事務局顧問 工学院大学客員研究員 菅澤茂

御影堂仏具荘厳の
修理事業に寄せて

平成23年から修理事業が進められている知恩院の国宝御影堂。調査の結果、堂内の厨子(ずし)や天蓋(てんがい)などの仏具荘厳類も粋を尽くして制作されていることがわかってきた。

京都府教育委員会文化財保護課で文化財の修理事業に携わってこられた菅澤茂氏に、御影堂修理事務局局長 大﨑順敬が話をうかがった。

宮殿上部の彫刻は三段に組まれており、
下から順に象、獏、龍が彫られている

約3メートル四方、高さ1.5メートルもある人天蓋。
重量は600~700キロとみられる

菅澤茂(以下、菅澤):私が初めて知恩院の修復事業にかかわったのは、三門の平成大修理でした。彫刻や絵画が細部まで作りこまれていて驚いたことを覚えています。京都における徳川家の造営事業といえばまず二条城でしょうが、知恩院も家康の菩提寺として建立されています。

大﨑順敬(以下、大﨑):隆盛を極めた時期の徳川家が、威信をかけて造営したのが知恩院であると。

菅澤:そうだと思います。

御影堂は浄土宗を代表する建築です。本尊を中心として外陣(げじん)と脇陣(わきじん)が「コ」の字型に囲むという浄土宗のスタイルが御影堂によって完成しています。また、文化財的な観点から見ても一級の技術が使われています。特に堂内の彫刻は見事です。例えば、内陣(ないじん)の上部に象鼻(ぞうはな)の彫刻がずらっと並び中央を覗き込んでいるのは、他ではあまり見られません。

当初の予定では人天蓋(にんてんがい)は新調する予定だったのですが、銅板の文様の精細さなどから再建当時のものが良い状態で残っていることが判明しました。

法然上人御影をご安置する宮殿

大﨑:私たちにとっては、御影堂はまず第一に法然上人の御影(みえい)をおまつりする極めて大切なお堂です。だからこそ、伊藤唯眞門跡猊下も、御影をご安置する宮殿(くうでん)をはじめ堂内の仏具や荘厳をきっちりと整備することを強く望まれています。人天蓋は新調するほうが安価で済んだのでしょうが、それでは失われるものがあります。御影堂の荘厳を再建当初の姿に戻して、これまで多くの人々が信仰を培ってきた道場を受け継ぎたいと考えています。

菅澤:ずっと役割を果たしてきた場で使い続けるからこそ、文化財は意味があるんです。

須弥壇(しゅみだん)や厨子の金物も、水銀鍍金(ときん)が丁寧に施されていました。今日なら電気鍍金で修理することも可能ですがそれでは仏具を痛めます。後世に受け渡していく修理にふさわしくないと思います。

江戸時代の仏具は数が多すぎてこれまで文化財として評価されてきませんでした。しかし、御影堂の仏具荘厳は江戸初期の超一級のものがそろっていますから、修理事業を丁寧に行うことで江戸時代の仏具を評価する基準となる可能性があります。そういう意味でも非常に重要な事業です。

大﨑:今回の修理事業は職人たちの注目も集めています。

これまでの慣例では仏具修理は仏具店に依頼したら納品されてくるのを待つだけでしたが、私たちは発注先と工程会議を行って細かく経過を注視しています。工法も調査して記録と図面を残すように指示しています。

菅澤:御影堂の修理事業は国庫補助を受けて行われています。でも次の世代へと受け継いでいくのは知恩院であり全国の檀信徒です。皆さんの信仰が生きる形で修理しなければなりません。

大﨑:寛永年間に御影堂が再建されたときには、大勢の人々が詰めかけたことでしょう。今日の私たちもそれを受け継いで御影堂の大修理事業を完成へと導き、落慶法要は満堂の人々のお念仏の声とともに迎えたいと願っています。

御影堂 仏具荘厳志納ご協力のお願い
  • ●ご志納金は1口1万円以上です。
  • ●ご志納いただいた方のお名前を志納台帳(仮称)に記入し、堂内に永代保存します。
  • ●50口以上ご志納いただいた方は、志納台帳への記名とともに、お名前を記したプレート(仮称)を永代に亘り掲げます。
お問い合わせ

御影堂修理事務局 075-531-2241 詳しくはこちらをご覧ください。



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