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おてつぎ運動

特集記事

2016年11月

『おてつぎ運動を教化に生かす 〜3つのお寺の事例から〜』

お念仏の「手次(てつぎ)」のための信仰運動として、おてつぎ運動は、信行奉仕団、こども奉仕団、成人式など多くの事業を実施してきたが、これらは全国のお寺の教化活動をどのように支えてきたのだろうか。おてつぎ運動をお寺の教化活動のプログラムにうまく役立ててきた3つの事例を紹介する。

本山と末寺をつなぐ架け橋 ──光心寺(静岡県焼津市)

1時間にわたって日常勤行とお念仏。最前列右から2人目が山下さん
(光心寺 おてつぎ13日会)

「お念仏会をうちのお寺でもやってもらえませんか」 ──知恩院の研修会で別時念仏に参加してきた故 山下徳二さんは、当時の光心寺住職 故 北山良祐さんに相談した。研修会の日が13日だったことにちなんで始められた「おてつぎ13日会」は、昭和48年から現在まで毎月続けられてきた。参加者は毎回3千円を積み立てて、おてつぎ信行奉仕団などの費用に充てる仕組みになっている。

山下徳二さんの息子の均(ひとし)さん(68)も、「おてつぎ13日会」に参加する一人だ。均さんは、「青年の集い全国大会」には昭和45年の第3回から昨年の第47回までほぼ毎回参加し、知恩院はもちろん東北や九州での大会にもたびたび足を運んできた。「おてつぎ運動のおかげでいろんな人と出会えました」という均さんは、高名な布教師の名を次々とあげては懐かしそうな表情を浮かべた。“おてつぎ"はその名称のとおりの本山と末寺の檀信徒をつなぐ役割を果たしてきた。

光心寺では、月1回はがき通信を発行し、毎月1日と各日曜日の朝参りや「おてつぎ13日会」への参加を呼び掛けるほか、婦人会や詠唱にも力を注ぐ。「知恩院が“おてつぎ"に込めた想いを、遠く離れた光心寺でも実践していたい」と、住職の北山大超さんは教化活動への意欲を語った。

あらゆる世代の心を育む ──祐天寺(東京都目黒区)

元気いっぱいにお念仏する声が響く。
親子ともにやすらぐひととき(祐天寺親子のひろば)

サラナ親子教室として平成15年に開校された「祐天寺親子のひろば」は、「仏さまに自然と手を合わせられ、食事のときでもしつけなくても行儀が身についてくる」などとの評判が口コミで広まり、いまでは1~2歳の子どもを持つ親子60組が通う人気教室だ(全5クラス・定員は各12組)。

僧侶がお念仏と法話をしたあと、子育て支援室長の巖谷孝子さん(57)ほか数名のスタッフが指導に当たる。印象的だったのは、スタッフ全員が子どもたちと一緒に真剣に歌って踊っていた姿だ。教室終了後も昼下がりまで楽しく交流する声が響いていた。

住職の巖谷勝正さん(57)は、「子どもからお年寄りまであらゆる人々の想いに応えたい」という。「親子のひろば」を卒業したら、附属幼稚園で引き続き仏教に触れ、小学生になれば日曜学校や精進道場に通ってもらう。大人には法話の日や詠唱の会がある。

さらには、おてつぎこども奉仕団、20歳になれば成人式、そして80歳になれば御忌大会中の高齢者招待祝賀式と、節目ごとに知恩院の行事への参加を呼びかけ、住職自らが京都へと引率する。知恩院のおてつぎ運動は、祐天寺の掲げる「心の生涯学習」を支えている。

明治以来の奉仕の伝統 ──誓満寺(愛知県刈谷市)

和順会では詠唱にも励む。
奉納大会のユニフォームは推進協議会の制服(誓満寺)

徳川将軍家の庇護を失って困窮していた知恩院を助けるため、明治11年(1878)に全国の寺院や檀信徒によって組織された「慈教講(じきょうこう)」。誓満寺ではこの伝統を守り、現在でも4月18日~25日の御忌大会には志納金を持参するとともに、多くの檀信徒がおてつぎ運動推進協議会の会員として奉仕活動に従事する。なかでも推進協議会役員の清水鉄男さん(76)は御忌大会の期間をとおして知恩院に宿泊し、参拝者の案内などに精を出す。

誓満寺の世話人(総代)は4人で、このうち2人が毎年入れ替わる。新しく世話人の役に就いた檀信徒は、住職の勧めによりおてつぎ運動推進協議会の初級研修会を受講して会員になる。総会員数約700名のうち、誓満寺の檀信徒は60名を占める。

住職の杉浦教順さん(60)は「実際に体を動かして奉仕することで、お念仏の教えが身に染み込んでいく」と語る。世話人の任期が終われば誓満寺の緊急事態に備える和順会に加わり、また推進協議会会員としても奉仕活動を続けていく。先人から受け継がれてきた奉仕の精神が、いまも三河の地に息づいて信仰を育んでいる。



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