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おてつぎ運動

特集記事

2017年12月

『新しい時代のお寺づくり』

「お寺離れ」が叫ばれるが、知恩院には多くの参詣者が日々訪れるなど、相変わらずお寺への関心は高い。現代にふさわしいお寺づくりとはなにか。若い僧侶たちは柔軟な発想で教化活動を始めている。

田舎のお寺らしさを映画化

剃度式でのラップバトル。稲田泰雄住職(右)と瑞規さん(左)。
映画本編は近々Youtubeに公開。予告編はこちら


映画のなかに見知った顔や景色が登場するたびに、笑い声が響き渡った

今年3月初旬。京都府南部のあるお寺に、ほぼすべての檀家さんが集まった。映画を“寺”主制作するためである。

仕掛け人は、称名寺副住職の稲田瑞規(ずいき)さん(25)。4月から東京で会社員として働くことが決まったため、生まれ育った久御山町(京都府久世郡)を離れる前に、「なにか恩返しがしたい」と思い立った。昨年12月、映画監督経験のある小池茅(かや)さん(早稲田大学4回生・当時)にコラボレーションを呼びかけたところ、「お寺で映画を作れるなんて!」と大喜びし、ボランティアで協力してくれることになった。稲田さんの家族は多少の戸惑いを抱えつつも副住職の試みを応援。檀家全軒をたずねてまわり、出演を依頼した。

そうして迎えた映画のロケ。のどかな田舎を舞台に、稲田家全員と檀家さん総勢約60人が、慣れない演技に挑戦した。クライマックスは本堂での剃度式。僧侶となることをためらう稲田さんと、父である住職がラップのリズムに合わせてバトルを展開。檀家さんたちも音楽に合わせて陽気に踊った。田舎のお寺がほこる地域の「つながり」が、いかんなく発揮された。

完成した“寺”主制作映画「DOPE寺(どーぷじ)」のお披露目の日に選んだのは、10月1日、法然上人の遺徳をたたえる御忌法要。例年よりも規模を拡大し、「お寺ミュージカル映画祭“テ・ラ・ランド”」と名付けた。法要のあと、映画上映、そして映画音楽を手掛けてくれたバンド「本日休演」のライブ。ネット上で話題を集め、百人を超えるお参りがあった。都市部から来た人は「田舎のお寺はすべてを受け入れてくれる雰囲気がある」と喜んでくれた。稲田さんは「地域のお寺をもっと巻き込んで、閉塞感を打ち破っていきたい」と意欲を語った。

僧侶と学生が協力してイベントを開催

顔はめパネルをつけた学生が参加者をお出迎え


体を動かしながら仏教やお寺について学べる「仏教風船かるた」

10月8日、神戸市大倉山にある安養寺は、地元の学生とコラボしたイベントを行った。2015年に兵庫教区浄土宗青年会が主催したのが始まりで、仏教と馴染みのない人にもお寺に来てほしいという思いから「テラキテ」とネーミングされた。3回目となる今回は、神戸工科芸術大学の3回生6人が「企画デザイン」の授業の一環として、株式会社フェリシモの「フェリシモおてらぶ」とともに、今までにない新しいプログラムを企画。多くの案の中から、最終的に4つに絞られた。4月から半年間かけて仏教やお寺のことを学び、お寺という場所でデザインをどう生かしていけるのかを考え、当日の運営まで携わった。

一番の盛り上がりを見せていたのは、子ども向けのプログラムの「仏教風船かるた」。仏教やお寺の知識を分かりやすい言葉で50音順にまとめ、風船のかるたにした。進行役の学生が札を読み上げると、子どもたちは元気いっぱいに探し回っていた。「現代語でお経」では、2種類のお経を学生が自分の経験を盛り込みながら今風に解釈し、発表した。

お堂の外では精進カレーが振る舞われた。タイとインドの合掛けスタイルで仏教と関わりのある食材を使ったオリジナルの味。いい匂いに食欲をそそられ、お昼時には人が多く集まっていた。また、仏像をモチーフにした顔はめパネルが境内に置かれており、参加者は自由にポーズを取り、写真撮影を楽しんだ。この他にも、オープニングの墨絵パフォーマンス、おつとめやヨガ、写仏・写経体験など盛りだくさんのプログラムが実施された。

安養寺副住職の清水昭德さん(36)は「何かひとつでも仏教的なものを持ち帰っていただき、お寺との縁ができれば嬉しい」と、このイベントを通して日常に仏教が結び付くことを期待した。



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