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国宝・御影堂大修理

国宝・御影堂ものがたり

第6回 御影堂の建築様式(1)

御影堂の建築様式

知恩院の境内の中心に悠然と建つ本瓦葺き(ほんがわらぶき)の御影堂は、間口45メートル、奥行き35メートル、日本でも指折りの大きさを誇ります。近づくとその宏大さを大いに実感されることと思いますが、四方を廻る縁(えん)は、人の背丈よりもずっと高い位置にあります。

三手先
▲ ① 軒の三手先組物

向拝
▲ ② 向拝の天人彫刻

破風
▲ ③ 破風の牡丹彫刻

縁に上がると、目の前に立ち並ぶ柱の直径は約60センチメートル、扉の高さは約4メートル、長押(なげし)に取り付く六葉(ろくよう)(注:六角形の釘隠し金物)は、人の顔ほどの大きさがあります。また、屋根の瓦は建物の規模に見合って大きなものが使われています。

御影堂は、とても上品で落ち着いた佇(ただず)まいをしています。といって決して簡素という訳ではなく、深い軒を受ける組物(くみもの)は、三手先(みてさき)(右図①)と呼ばれる最も格の高い複雑な形式です。

また、向拝(こうはい)(注:正・背面の庇(ひさし)が突出した部分)の上部には、龍や虎、獅子などの、その後ろには天人などが彫られた部材が取り付いています。(右図②)建物の側面に廻ると、破風(はふ)(注:屋根側面の三角部分)は、部材の隙間が牡丹などの彫刻で埋められています。(右図③)御影堂の端正な姿は、全体のプロポーションに加えて、様々な要素が見事に調和してつくられたものと言えましょう。

木材として、柱には欅(けやき)、その他は檜(ひのき)が用いられています。御影堂本体部分の柱は円柱です。これも実は格式のあるもので、一旦四角形の断面に加工された材木を、四角形→八角形→十六角形…と、手間を掛けて形を整えてつくります。また、長押には、目で見て年輪を数えることができないほどの緻密な材料が使われています。ほんの一端ですが、材料からも、建物の質の高さを垣間見ることができます。
現在の御影堂は、寛永の火災の後に再建されたものですが、屋根の瓦には、「寛文(かんぶん))」「元禄(げんろく)」「寶暦(ほうれき)」「明治」などの年号の刻印されたものが数多く残り、幾度も修理を重ねて大切に受け継がれてきたことがうかがえます。

京都府教育庁文化財保護課 浅井 健一



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