浄土の楽しみじょうどのたのしみ

源信『往生要集』では十種(浄土十楽)にとりまとめられている(『浄全』十五・五四頁上~六四頁下)。すなわち①聖衆来迎しょうじゅらいこう楽(阿弥陀仏等の聖者の集団が往生人を迎えに来る楽しみ)②蓮華初開れんげしょかい楽(往生人の乗った蓮が極楽の蓮池で初めて開く楽しみ)③身相神通しんそうじんずう楽(身に三十二相が具わり、五神通を得る楽しみ)④五妙境界みょうきょうがい楽(色・声・香・味・触という五種の対象がみな見事である楽しみ)⑤快楽無退けらくむたい楽(快感が無くなることのない楽しみ)⑥引接結縁いんじょうけちえん楽(縁を結んだ人を迎える楽しみ)⑦聖衆倶会しょうじゅくえ楽(菩薩たちと会える楽しみ)⑧見仏聞法けんぶつもんぼう楽(仏に直接お会いして教えを聞く楽しみ)⑨随心供仏ずいしんくぶつ楽(思い通りに仏を供養する楽しみ)⑩増進仏道ぞうしんぶつどう楽(修行が進む楽しみ)。なお第三楽のうち「五神通」とは①神境通じんきょうつう(遠くにまで飛行し、化身を造る能力)②天眼てんげん通(遠くのものを見る能力)③天耳てんに通(遠くの音声を聞く能力)④他心たしん通(他人の心を読む能力)⑤宿命しゅくみょう通(過去世を思い起す能力)。