法然上人のお言葉

後篇
第十一章

廻向発願心えこうほつがんじん

廻向発願心とは、善根すべてを極楽往生のために振り向け、往生を願い求める心である。

(三心義)

御法語

廻向えこう発願心ほつがんじんというは、過去かこおよび今生こんじょうの、身口意業しんくいごうしゅするところの、一切いっさい善根ぜんごんを、真実しんじつこころをもて極楽ごくらく廻向えこうして、往生おうじょう欣求ごんぐするなり。これを廻向えこう発願心ほつがんじんづく。この三心さんじんしぬれば、かなら往生おうじょうするなり。

現代語訳

廻向えこう発願心ほつがんじんというは、過去かこおよび今生こんじょうの、身口意業しんくいごうしゅするところの、一切いっさい善根ぜんごんを、真実しんじつこころをもて極楽ごくらく廻向えこうして、往生おうじょう欣求ごんぐするなり。これを廻向えこう発願心ほつがんじんづく。この三心さんじんしぬれば、かなら往生おうじょうするなり。

廻向発願心というのは、過去世かこせおよびこの生涯において、身・口・こころの行為を通して積んだすべての善根を、真実の心をもって、極楽〔往生のため〕に振り向け、往生を願い求めることです。これを廻向発願心と名づけます。この〔至誠心・深心・廻向発願心の〕三つの心を具えたならば、必ず往生するのです。