法然上人のお言葉

用語集

難易二道(なんいにどう)

「難行道と易行道との二道」の意。浄土宗ではすべての仏教を「聖道門」「浄土門」とに分ける(前編第三章)が、龍樹『十住毘婆沙論』「易行品」(『大正蔵』二六・四〇頁中)を承けた曇鸞『往生論註』(『浄全』一・二一九頁上)によって「難行道」「易行道」とも呼ぶ。

難修観法(なんじゅかんぼう)
「修めることが難しい、観想という修行方法」の意。
難値得遇(なんちとくぐう)

「値い難い仏の教えに遇うことを得た」の意。

南楼(なんろう)

中国晋代の征夷将軍庾亮ゆりょう(二八九-三四〇)が武昌江夏駅に建て、月を愛翫した名勝。

二河の水火(にがのすいか)
衆生の貪りと憎しみの煩悩をそれぞれ水の河と火の河に喩えたもの。善導『観経疏』「散善義」(『浄全』二・五九頁下)。
二河白道(にがびゃくどう)
「貪りの水の河と、憎しみの火の河の中央に続いている信心の白い細道」の意。本法語は、「登山状」の一節。『賢愚経』「大施抒海品じょかいぼん」(『大正蔵』四・四○四頁中~四○九頁中)の次のような話に依っている。「波羅奈国の大施太子は、貧者救済のために龍王から如意宝珠を得たが、臣下の龍たちに奪い返される。太子が亀の甲羅(本法語では貝殻)で海水を汲み干そうとすると、諸天が手を貸し、海水を大方汲み取ってしまう。龍王は慌てて如意宝珠を返した」と。
二行得失(にぎょうとくしつ)
「専ら念仏を修めることによる利得と、雑行を修めることによる損失」の意。
日課(にっか)
「日ごとに課した勤め」の意。
如意宝珠(にょいほうじゅ)
意のままに望みのものが手に入る宝玉。
如法に(にょほうに)
仏の教えの理想通りに。

涅槃(ねはん)

仏の入滅。

念珠(ねんじゅ)
「念仏の数を数えるための数珠」の意。
念々不捨者(ねんねんふしゃしゃ)

法然上人が立教開宗の依り所とされた善導『観経疏』「散善義」の一節(『浄全』二・五八頁下)。前篇第二章参照。

念仏往生の誓願(ねんぶつおうじょうのせいがん)

『無量寿経』上巻に説かれる、四十八願のうちの第十八願。前篇第五章参照。

念仏付属(ねんぶつふぞく)
「釈尊が、『観無量寿経』末尾で、往生のための行の中から念仏を選び、後の代に伝えるよう弟子阿難に託されたこと」の意。