〈おてつぎ運動
60周年〉
節目を契機に、新しく次へ
総本山知恩院門跡 おてつぎ運動本部総裁 伊藤 唯眞
滔々と流れる大いなる河
あけましておめでとうございます。皆様には輝かしい新年をお迎えのこととお慶び申し上げます。
昨年は、浄土宗は開宗八百五十一
年とさらなる一歩を重ね、そしてまた、今年は「おてつぎ運動」が60周年を迎える記念すべき年です。
念仏の教えをおてつぎするとは、教えを知識として学び覚えるのではなく、日常的な信仰生活の中に位置づけて、いつでもどこでも実践していくことを意味します。「信は一念に、行は一形に」というように、一回の念仏で往生が叶うと確たる信念を持ち、その決意のもと、念仏の行に一形、つまり人間という形のある限りの一生涯にわたって実践し、行を深めていくことです。
そして、信行の双方に努め、修めた自分自身が、そのおてつぎ成果を家族へ、地域社会へと広げていく――知恩院を源流に菩提寺へ、さらに菩提寺から地域の人々を巻き込んでいくという、この大いなるおてつぎ運動の流れは、いつまでも潤い溢れるものでなければなりません。
時代に呼応する運動を
今日、混乱・混迷する世相の中で「生きづらさ」を感じる人が多くなっています。また、少子高齢化や核家族化の中で墓じまいが進んでいます。一方で、外国人観光客が増え、日本の文化や歴史、宗教に触れたい、学びたいと思って訪れる人も多いようです。
このような現況下、おてつぎ運動も時代に合った在り方が求められます。念仏のふるさと知恩院は、誰もが安らぎを身近に感じることができる寄る辺であること。手から手へ、人から人へ、心から心へと法然上人の教えをおてつぎする運動が脈々と息づいていること。そうした知恩院ならではの特色と魅力を幅広い人々に発信する運動へと広げ、深めていくことが重要です。
その際、神髄を踏み外して矮小化してはなりません。まさに「愚者の自覚を 家庭にみ仏の光を 社会に慈しみを 世界に共生を」と表明した「浄土宗二十一世紀劈頭宣言」は、おてつぎ運動の精神や意義を集約したものです。そうした理想的社会の実現を一筋に祈念し、次に続く「おてつぎ運動70周年」へと進んでいきましょう。
合掌