知恩院の宝物
知恩院は48巻にも及ぶ法然上人の伝記「法然上人行状絵図」(国宝)、鎌倉時代の浄土教絵画の代表作「阿弥陀二十五菩薩来迎図」(国宝)をはじめ、数々の美術品を所蔵しています。
※通常非公開

阿弥陀二十五菩薩来迎図国宝
鎌倉時代 1幅 絹本著色
高くそびえ立つ山岳に沿って、観音菩薩・勢至菩薩を先頭に阿弥陀如来と諸菩薩が、念仏行者のもとに急ぎ来迎する様が描かれています。
行者の前の机には経巻が置かれ、虚空に宝楼閣や多数の化仏が描かれていることから、上品上生(じょうぼんじょうしょう)の来迎を表していることがわかります。
桜や滝をあしらった彫りの深い山水や、速度感あふれる来迎雲の表現はみごとで、速やかな来迎を願った鎌倉時代の人々の願望を物語っており、通称「早来迎(はやらいこう)」と呼ばれています。

法然上人行状絵図国宝
鎌倉時代 48巻 紙本著色
法然上人の誕生から入寂に至る行状のほか、法語、消息、著述などの思想もあらわし、さらには門弟の列伝、帰依者(天皇、公家、武家)の事蹟までを含む48巻からなる高僧絵巻です。

菩薩処胎経国宝
西魏時代(大統16年) 5帖 紙本墨書
釈迦の入涅槃の前後を題材とし、母胎内に於いて10ヶ月間説法をするという経典です。
5帖のうち、第1帖は平安時代後期、第5帖は奈良時代の書写で、第2~4帖には中国西魏時代大統16年(550)の奥書があります。知恩院が所蔵する古写経の中でも特に著名で、世界最古の伝世写経といわれています。

上宮聖徳法王帝説国宝
平安時代 1巻 紙本墨書
聖徳太子の伝記で、5つの部分から構成され、その最も古い成立は、大宝・慶雲(701-707)以前にまでさかのぼるといわれています。
太子伝としては最古のもので、仏教伝来の所伝、太子の薨日などは、『日本書紀』と異なる説を記録し、古代の記録としても極めて高い史料価値を有しています。

宋版一切経重要文化財
南宋時代 5969帖 紙本木版
一切経とは、仏教経典「経・律・論」の三蔵とその注釈書からなり、そのすべてを合わせたもので、「大蔵経」ともいいます。
知恩院に伝わる宋版一切経は、北宋末から南宋にかけて福建省福州の開元寺や東禅寺で開板された、5969帖からなる混成本です。

浄土五祖図
南北朝時代 1幅 絹本著色
浄土五祖図は、法然上人の要請で仁安(にんあん)2年(1167)に入宋した俊乗房重源(しゅんじょうぼうちょうげん)が将来したと伝え、二尊院に伝わる五祖図がそれにあたると言われています。知恩院が所蔵する五祖図は、二尊院本に倣いながらも、横長の画面、善導大師を合掌する姿、五祖を「△」に配して奥行を出しています。

二祖曼陀羅図
南北時代 2幅 絹本著色
唐の善導大師と法然上人の肖像をそれぞれ画面中央に配し、その周りに行状をめぐらせた一対の掛け幅です。