御影堂で法然上人をご安置する宮殿(くうでん)などに使われる漆が茨城県久慈郡大子町で採取されています。茨城県は岩手県に次いで全国2位の産出地であり、透明度の高い良質な漆が採取されることでも知られています。御影堂の修理は元の形にもどすのが原則であるため国産の漆を使うことになっており、大子漆を使用することとなりました。
漆掻き職人を中心に組織された大子漆保存会では植林や漆出荷などの活動をしていますが、漆掻き職人の数は少なく、会長の飛田祐造さんをはじめ現在十数人しかいないそうです。国産の漆を存続するために大子町役場が中心となって集められたものが今回知恩院で使用されます。
「大子漆を国宝の文化財で使っていただけるのは有り難いこと、これを機に知恩院さんとご縁ができることはとても尊いことです」と話してくれたのは大子町役場で農林課特産品販売物室長を務める藤田貴則さん。知恩院を通じて大子漆がさらに評価されることになれば幸いです。

大子町には約一万本の漆の木が植えられています

会長の飛田祐造さんと副会長の益子玉江さん

掻きカマで傷をつけた後ヘラで漆を採取する飛田さん

採取した漆を出荷するためタルに詰める益子さん