法然上人のお言葉― 元祖大師御法語 ―

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第二十八章

来迎引接らいこういんじょう

念仏による往生は、動かしようのない絶対法則である。

(勅伝第二十一巻)

御法語

法爾ほうに道理どうりことあり。ほのおそらのぼり、みずくださまながる。菓子かしうちものあり、あまものあり。これらはみな法爾ほうに道理どうりなり。

阿弥陀仏あみだぶつ本願ほんがんは、「名号みょうごうをもて罪悪ざいあく衆生しゅじょうみちびかん」とちかたまいたれば、ただ一向ひたすら念仏ねんぶつだにももうせば、ほとけ来迎らいこう法爾ほうに道理どうりにてうたがいなし。

現代語訳

法爾ほうに道理どうりことあり。ほのおそらのぼり、みずくださまながる。菓子かしうちものあり、あまものあり。これらはみな法爾ほうに道理どうりなり。

「動かしようのない自然の道理」ということがあります。炎は空に昇り、水は低い方に流れます。果物の中に酸いものもあれば、甘いものもあります。これらはみな「動かしようのない自然の道理」です。

阿弥陀仏あみだぶつ本願ほんがんは、「名号みょうごうをもて罪悪ざいあく衆生しゅじょうみちびかん」とちかたまいたれば、ただ一向ひたすら念仏ねんぶつだにももうせば、ほとけ来迎らいこう法爾ほうに道理どうりにてうたがいなし。

阿弥陀仏の本願は、「名号によって罪悪の衆生を救済しよう」と誓われたものですから、ただひたすら念仏さえ称えれば、阿弥陀仏のお迎えは「動かしようのない自然の道理」であって、疑いありません。