法然上人のお言葉― 元祖大師御法語 ―

御法語

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現代語訳

往生おうじょうせさせおわしますまじきようにのみ、申もうし聞きかせまいらする人々ひとびとの候そうろうらんこそ、返かえす返がえすあさましく心こころ苦ぐるしく候そうらえ。いかなる智者ちしゃ、めでたき人々ひとびと仰おおせらるるとも、それにな驚おどろかせおわしまし候そうらいそ。各おのおのの道みちにはめでたく貴たっとき人ひとなりとも、解さとり異ことに、行ぎょう異ことなる人ひとの申もうし候そうろう事ことは、往生おうじょう浄土じょうどのためには中々なかなかゆゆしき退縁たいえん、悪知識あくちしきとも申もうしぬべき事ことどもにて候そうろう。

「往生などお出来になりません」とばかり、〔あなたに〕申し聞かせる人たちがおられるそうですが、本当に嘆かわしく気がかりなことです。どのような、学識のある人や立派な人々がおっしゃっても、そのことで決して動揺なさってはなりません。それぞれの道では立派で尊敬すべき人であっても、解釈が異なり、修行が異なっている人の言われることは、極楽往生のためには、かえって大変な身を滅ぼす縁とも、道を誤らせるものとも申すべきでありましょう。

※な驚かせ…候いそ＝「な…そ」は禁止を表わす。

ただ凡夫ぼんぶの計はからいをば聞きき入いれさせおわしまさで、ひとすじに仏ほとけの御おん誓ちかいを頼たのみまいらせおわしますべく候そうろう。

とにかく凡夫の考えをお聞き入れにならず、一途いちずに仏のお誓いを頼みとなさいませ。