御影堂修理開始から1年半が過ぎ、屋根の瓦や木材の取り外し作業と並行して行われていた御影堂内部の作業も進んでおり、ほとんどの什物が取り外されました。9月になると、通常は上がっている内陣と外陣を分ける蔀戸(しとみど)が下ろされ、取り外し作業が行われました。蔀戸とは平安時代より寝殿造りなどの貴族住宅や寺社建築において使われた建具であり、跳ね上げ式の戸のことです。取り外された蔀戸は破損状況などを調べたうえ、漆塗り等の修理をする予定です。
多くの職人が慎重に取り外していきます
蔀戸を閉めるための留め具にセミの飾りがついています
蔀戸を取り外した後の御影堂内部
蔀戸を閉めるための留め具にセミの飾りがついています
蔀戸を取り外した後の御影堂内部
御影堂に100年前の忘れ物
修理中の御影堂の屋根裏から、明治時代に法然上人700年遠忌記念事業として行われた大修理の際の忘れ物と見られる大工道具が見つかりました。軒先回りの野地板下から見つかったもので、木材を粗削りする「斧(よき)」、さらに細かく削る「手斧(ちょうな)」、玄翁(げんのう)とよばれる金づちが2本、墨を付けて木材に線を引く「墨刺(すみさし)」が2本発見されました。見つかったのは御影堂の正面と東面の屋根裏でいづれも明治の大修理が行われた所であり、同時代の大工道具である可能性が高いといわれています。