知恩院の追儺式は一風変わっており、その年の年男・年女が、七不思議の1つである「大しゃくし」を持って諸堂を回り、豆をまいて厄払いをします。
この「大しゃくし」は長さ2.5m、重さ30㎏もある巨大な物で、年に1度、追儺式の時だけ使用されます。 このしゃくしは物を「すくう」という事から転じて、阿弥陀さまの「救い」を表わしているといわれ、この大きなしゃくしで衆生(しゅじょう)を救い取るという願いが込められています。
たとえ三悪道に堕ちた餓鬼等でも救い取るという思いで、豆まきの際は「福は内」だけを唱和し、「鬼は外」とは言いません。 知恩院の節分は、厄払い、無病息災はもちろんのこと、阿弥陀さまのご本願に乗じて全ての人々が救われるよう祈る行事でもあります。