知恩院の建造物
御影堂国宝
元祖法然上人の御影(みえい)を祀ることから、「御影堂(みえいどう)」と呼ばれ、俗に「大殿」とも呼ばれます。
現在の御影堂は寛永16年(1639)に徳川3代将軍家光公によって建てられ、間口45メートル、奥行き35メートル 幅3メートルの外縁をめぐらし、その壮大な伽藍は、お念仏の根本道場として、多くの参拝者を受け入れてきました。毎年4月に行われる法然上人の御忌大会(ぎょきだいえ)、12月の御身拭式(おみぬぐいしき)などでは、堂内にお念仏の声が響き渡ります。
御影堂内陣 仏具紹介
1宮殿くうでん
法然上人の御影をお祀りする厨子です。 宮殿軒の先端部分には、下から象、獏、龍の彫刻、ほかにも鳳凰、極彩色の牡丹の彫刻など、細密な装飾が施されています。
2須弥壇しゅみだん
宮殿がのる須弥壇には、朱漆が塗られ、中段には7対14頭の極彩色の唐獅子彫刻が取り付けられています。
3人天蓋にんてんがい
導師が座る頭上にかざされる傘のことです。 表面は唐草紋と亀甲紋の線彫りで覆われた銅板で、水銀鍍金が施されています。
4幢幡どうばん
仏堂に飾る幡のことです。竿柱に、金箔を押した木製の幡が六角に吊られています。御影堂の幢幡は大修理の際に新調され、長さ6m20㎝、重さ約400㎏と、世界最大級のものとなりました。
5大常華だいじょうか
蓮の華をかたどった仏具です。木製で、金箔が施されています。知恩院の常華は高さ4mを超え、特別に大常華と呼ばれています。
6西脇壇にしわきだん
徳川家康公は熱心な浄土教信者で、慶長8 年(1603)、生母・伝通院殿の菩提のために知恩院の寺領を拡張し、中段の地に御影堂、集会堂、大小方丈、大小庫裏などの諸堂の造営を命じました。御影堂の西脇壇には、向かって右から家康公、伝通院殿、秀忠公のお像が安置されています。(※非公開)
7東脇壇ひがしわきだん
東脇壇の厨子に祀られる重要文化財の阿弥陀如来立像は、像高98・2㎝、平安~鎌倉時代(12ー13世紀)に造像されたもので、法然上人の臨終の時の護持仏と伝えられています。(※非公開)
コラム明照額
御影堂外陣に掲げられている明照額は大正天皇の宸翰で、大正4(1915)年に制作されました。
コラム葺き残しの瓦
御影堂の瓦屋根、よく見れば大棟(おおむね)の中央に4枚の瓦が残されています。
「満つれば欠くる世の習い」――― この世はすべて無常であり、完成すればあとは壊れていくばかり。
雄大なお堂ですが、まだ未完成であることを示すために、あえてこのようにしたと考えられています。
コラム知恩院七不思議
御影堂正面右手上部の軒下には、知恩院七不思議の一つ「忘れ傘」があるほか、外縁と本殿を区切る大扉の落とし金の意匠なども、きめ細かい趣向がこらされていて素晴しいものです。
これらの落とし金は、蝉、亀などの意匠が多く見られます。