知恩院の建造物
勢至堂重要文化財
勢至堂(せいしどう)の地は、法然上人がお念仏のみ教えを広められた大谷の禅房の故地であり、知恩院発祥の地でもあります。堂内正面に掲げられている額「知恩教院」は後奈良天皇の宸翰であり、知恩院の名の起源がここにあります。
現在の勢至堂は享禄3年(1530)に再建されたもので、七間四面単層入母屋造本瓦葺、桁行21メートル、梁行20メートルの現存する知恩院最古の建造物です。
ご本尊はもともと法然上人のご尊像(御影)でしたが、現在の御影堂が建立された折に移されたため、それ以降は上人の本地身(ほんじしん)とされる勢至菩薩像(重要文化財)をご本尊としておまつりしています。これが勢至堂といわれる由縁です。
知恩院境内の中でも、ひときわ静穏な空気に包まれた、お念仏発祥の地にふさわしい聖地です。
コラム紫雲水とモリアオガエル
勢至堂の傍ら、御廟の崖下に紫雲水というある小さな池があり、法然上人ご入滅の時、聖衆が来迎し紫雲が水面に現れ、芳香が漂ったという言い伝えが残っています。
毎年5~6月頃にはこの紫雲水に天然記念物のモリアオガエルが産卵に訪れ、かわいらしい鳴き声を聞かせてくれます。
コラム山亭
勢至堂には客殿として、山亭があり霊元天皇の第13皇女 吉子内親王の宮殿を御下付、移築された山亭庭園があります。
山亭庭園は江戸末の様式を残しており、北西角に三尊石(阿弥陀三尊)を配するとともに、京の町並みが一望出来る名園です。
遠景を意識的に庭の一部として利用し、手前の庭を無限の空間に拡大する優雅閑寂な書院庭園となっています。