華頂特集記事Kacho

2019年12月

地域社会に支えられて

 10月15日、八幡社放生会(ほうじょうえ)が執り行われた。今年は地域社会との接点をつくり、より多くの方に放生会を知ってもらうため、また来春の国宝御影堂落慶法要のおまちうけとして、規模を拡大して実施。知恩院近郊の古川町商店街振興組合、祇園商店街振興組合、祇園縄手繁栄会の3商店街、近郊の自治会、京都文教短期大学付属小学校、華頂短期大学付属幼稚園にもご協力いただいた。

放生会の歴史

 私たちの生命は、他の生命を犠牲にすることによって成り立っていると認識し、日ごろの罪深い生活を反省して行うのが放生である。日本では敏達天皇の7年(578)の六斎日に殺生を禁じており、奈良朝以降になると、広く一般に普及し、その後儀礼として放生を行うようになった。

 放生会は、仏教の「不殺生戒」の教えに基づき、捕えられた鳥や魚など生きものを解放して供養する法要であり、知恩院では延享3年(1746)から続いている。知恩院の日々の出来事を記した『日鑑』によると、有志による放生から放生講がつくられ、日常で行うことのできる善行として広まっていったことがわかる。

阿弥陀堂での法要

小さな手から放たれる生命

 お練りは雅楽を演奏する僧侶の隊列と商店街、近郊の自治会の関係者、総本山知恩院用達組合の方々が、京阪祇園四条駅辺りから出発し、3商店街を通って、阿弥陀堂での法要に参列し、古門橋前まで約1・2キロ練り歩いた。晴天に恵まれ、足を止めてカメラを構える観光客も多く見られた。

三門に向かって練り歩く僧侶

 小学校2年生28名と幼稚園年長児43名がお練りに途中から合流。生き物や食べ物への感謝の気持ちを込め、魚を白川へ放した。魚は、生態系のバランスが壊れないように、滋賀県立琵琶湖博物館の松田征也先生に選定していただいた。お念仏が響く中、子どもたちは、桶から魚が跳ねながら元気に川へ戻っていく様子を見守っていた。

白川前でお念仏する小学生

御影堂落慶法要に向けて

 法要と放生にご参列いただいた古川町商店街振興組合理事長の藤村洋平さんは、「今回の放生会を機に知恩院との接点ができて良かったです。今後もお互い協力し合って地域を活性化させていきたいです」と話した。古川町商店街は長い歴史があり、知恩院の古門横に位置するが、近年は一緒に行事を行う機会はなかった。今回は放生会開催にあたり、ポスターの掲示や提灯の設置、近隣への呼び掛けや白川の清掃などをご支援いただいた。
 新聞やテレビなどメディアにも多数取り上げられ、知恩院の放生会を初めて知った方も多かった。御影堂修理事務局の西浦道哉執事は、「落慶法要のある来年以降も地域の方々とともに盛り上げていける行事となれば」と期待する。落慶法要に向け、地域社会と支え合い、お念仏の輪を広げ、より賑わいのある街づくりを目指したい。

御影堂落慶法要については、こちらのページをご覧ください。

国宝御影堂落慶