子どもが三歳・五歳・七歳を迎えた節目に行う成長を祝う儀礼である七五三。浄土宗における七五三の意味は、阿弥陀如来への結縁を通して帰依に導き、阿弥陀如来およびご先祖様に対して、日々の平安を感謝し、今後の成長を願うことである。
知恩院では、11月13日・14日に初めて七五三祈願法要を開催。おてつぎ運動本部では、これまでもサラナ親子教室やこども奉仕団、ボーイスカウトなど子ども向けの教化事業を行ってきたが、3歳から7歳を対象にした行事はなかった。

阿弥陀堂での祈願法要
寺離れが進むなか、祖父母、親、子どもの三世代がお寺に集まり、次世代に信仰を継承する契機になればという思いで、数年前から構想を練っていた。コロナの影響で昨年は延期し、おてつぎ運動55周年を迎えた本年、ようやく開催に至った。
事前申し込み制とし、午前と午後に分け、2日間で42名の子どもたちが両親や祖父母らと参拝した。色鮮やかな着物や袴を羽織った晴れ着姿の子どもたちは、受付で授与された袈裟と二連数珠を身に付けて阿弥陀堂での祈願法要に参列。智慧の水を頭に注いで、仏の智慧を授かる灌頂洒水(かんじょうしゃすい)を1人ずつ受けた。

導師より灌頂洒水を受ける
三法帰依(さんぽうきえ)では、導師を勤めた堀田定俊おてつぎ運動副本部長の「『明るく』とは、『ありがとう』を笑顔で言えること。『正しく』とは、『ごめんなさい』と素直に言えること。『仲良く』とは誰にでも優しくできることです。これから明るく、正しく、仲良くできますか?」との呼び掛けに、子どもたちは「はーい」と大きな声で返事していた。
お寺での法要をはじめ、木魚念仏やお焼香などほとんどの子どもたちにとっては馴染みがなく初めての体験。お坊さんに教えてもらいながら、少し緊張した様子で行っていた。
法要後は、山添真寛上人による手遊びや紙芝居式のダジャレクイズなどを楽しみ、終始笑いが絶えず、和やかな雰囲気で締めくくられた。

山添上人によるおはなし
クイズに元気よく手を上げて答え、「しんかんさんのクイズが一番楽しかった」という佐々木和香ちゃん(7)は、京都市中京区から両親と3人で参加。お母さんは、「家族での知恩院の参拝は初めてでした。祈願法要は厳かで、お坊さんのお話は子どもたちにも分かりやすい内容で有難かったです」と話した。祖母から代々受け継がれた約70年前の青い古典柄の着物を着て参拝した女の子もいた。
記念品は、七五三定番のお守りや千歳飴の代わりに、知恩院に参拝した証となるお袈裟と二連数珠の他、なむちゃんグッズやお菓子を準備。親しみやすさが出るように席札やウェルカムボードなどは手作りした。
堀田副本部長は、「七五三で阿弥陀仏との縁を結んでいただき、成人式や結婚式などその後の人生儀礼にもお寺にお参りしてもらえるきっかけになれば嬉しいです。来年以降も継続して行い、全国の寺院にも広がっていくよう努めていきたいです」と話す。