法然上人のお言葉― 元祖大師御法語 ―

用語集

悪業(あくごう)

身・口・意によって犯した悪い行い。苦しみの原因となる。

悪道(あくどう)
六道の中の地獄・餓鬼・畜生。
阿僧祇劫(あそうぎこう)

阿僧祇は「無数」という意味の梵語「アサンキヤ(asakhya)」の音写。「劫」は非常に長い時間の単位。前篇第一章」参照。

阿難(あなん)
釈迦十大弟子の一人。最も多く仏説を聞いた(多聞たもん第一)とされる。
尼入道(あまにゅうどう)
形だけの出家者。
阿弥陀仏の誓い(あみだぶつのちかい)

本願。四十八願。特に第十八「念仏往生の願」。前編第三章本願」、第五第六章参照。

安心(あんじん)
念仏行者の心がまえである三心(至誠心・深心・廻向発願心)。
安心起行(あんじんきぎょう)
「心がまえと修行」の意。

異学異見(いがくいけん)

浄土宗とは異なる学説や見解の者たち。前編第三十一章「異解異学」、後編第二十二章「解り異に、行異なる人」に同じ。

易行往生(いぎょうおうじょう)

「念仏という易しい行によって極楽に往生すること」の意。後篇第一章参照。

一期勧化(いちごかんげ)
「一生涯にわたる勧誘や教化」の意。
一念十念(いちねんじゅうねん)

『無量寿経』では第十八願に「乃至十念」(『浄全』一・七頁、前篇第五章参照)と誓われ、願成就の文に「乃至一念」(『浄全』一・一九頁)と説かれる。

一枚起請文(いちまいきしょうもん)
「一枚の紙に奥義を示し、神仏の前に間違いのないことを誓った文」の意。
一蓮托生(いちれんたくしょう)

「念仏者が、極楽の同一の蓮の(うてな)に生を託すること」の意。この法語は、上人が四国への流罪に遭われた時、その身を案じる九条兼実(くじょうかねざね)(一一四九-一二〇七)に語られた言葉とされる。

一紙(いっし)
奥義を記した一枚の紙。
引摂縁(いんじょうえん)
浄土に往生した者が、この世で縁を結んだ人を救い取ること。引接結縁(けちえん)。源信『往生要集』大文第二「欣求(ごんぐ)浄土」(『浄全』十五・五九頁下)。

有為(うい)
原因や条件によって造作され、生じては滅する物事や現象。
器(うつわもの)
その教えに対して能力や素質が相応ふさわしい人。
運慶(うんけい)

平安末から鎌倉初期に活躍した仏師(?-一二二三)。

慧(え)

ものごとを分析する心のはたらき。智慧。般若。

廻向心(えこうしん)

廻向発願心。後篇第十一章参照。

廻向発願心(えこうほつがんじん)
「自他の一切の善根を往生のために振り向けて往生を願う心」の意。
会者定離(えしゃじょうり)
現世で出会う者が必ず別れる運命にあること。
依正二報(えしょうにほう)

法蔵菩薩の修行が完成し、本願が成就したことによる果報。極楽国土(荘厳しょうごん依報えほう)および阿弥陀仏や諸菩薩(聖衆しょうじゅ正報しょうほう)という二つ。「荘厳」については前編第二十章荘厳」参照。

穢土(えど)
浄土に対して、煩悩や悪業のけがれの多いこの世。娑婆(しゃば)世界。
閻魔(えんま)
「生前中の善悪の行為を裁き、来世の境界を決定する死後の世界の主」を意味する梵語「ヤマ〔ラージャ〕(yamarāja)」の音写。

往生の業(おうじょうのごう)
極楽往生の叶う行い。
憶念(おくねん)
心にとどめて忘れないこと。
恩徳(おんどく)
救いのはたらきや恵み。